「とまと王国の王子」の物語


第一部:赤く輝く王国

とまと王国は、真っ赤に実ったトマトが宝石のように輝く、豊かで平和な国だった。
王国の中心には大きな木製の看板が掲げられ、「とまと王国 ― Tomato Kingdom」と誇らしげに書かれている。

その国に、一人の王子がいた。
青いマントを羽織り、まだ少し幼さの残る瞳を持つ少年王子。
彼は剣を手にしていたが、争いのためではなく、守るための剣だった。

王子は城下町を歩くのが好きだった。
トマト畑で働く農家の人々、笑顔で実を運ぶ子どもたち、
そして「Satellite shop」と呼ばれる小さな直売所で、王国の恵みが旅人に届けられていた。

王子は思っていた。
「この王国の赤い輝きを、ずっと守りたい」と。


第二部:王女の願い

ある日、王子は城の庭で王女と出会う。
赤いドレスにトマトの冠を戴いた王女は、明るい笑顔の奥に、少しだけ不安を隠していた。

「ねえ王子、最近トマトの実りが弱っているの」
王女は王国の畑を見渡しながら言った。

調べによると、王国の外れにある「枯れ谷」から、
トマトの力を奪う不思議な気配が広がっているという。

王女は言った。
「王様や兵士たちだけじゃなく、王国を想う人の力が必要なの」

王子は剣を握り、静かにうなずいた。
それは、王子が王子から“真の守り手”へと踏み出す瞬間だった。


第三部:トマトの精霊と冒険

王子は一人、枯れ谷へ向かう旅に出た。
道中、宝箱のそばで、小さなトマトの姿をした精霊と出会う。

「ぼくたちはトマトの精霊。王国の赤い心だよ」

精霊たちは王子に、
トマトはただの作物ではなく、人の想いで育つことを教えた。

枯れ谷では、欲深な影がトマトの力を独占しようとしていた。
王子は剣を振るったが、力だけでは影は消えない。

そこで王子は叫ぶ。
「とまと王国は、分け合う国だ!」

精霊たちの光と王子の想いが重なり、
影は赤い光に包まれて消えていった。


第四部:試される王子の心

王国へ戻る途中、王子は考え続けていた。
「自分は本当に王子としてふさわしいのか?」

王子は強さよりも、
王国の人々の顔を思い浮かべた。
畑で汗を流す人、直売所で笑う旅人、
王女の優しいまなざし。

城へ戻ると、王女が真っ先に駆け寄ってきた。
「おかえりなさい、王子!」

その言葉で、王子は悟った。
王子とは、命令する者ではなく、
想いをつなぐ存在なのだと。


第五部:未来へ続く赤い物語

枯れ谷は緑に戻り、トマトは以前にも増して甘く実った。
「Satellite shop」には多くの旅人が訪れ、
とまと王国の物語が各地へ広がっていく。

王子は今日も青いマントを翻し、王国を見渡す。
王女はその隣で、トマトの冠を輝かせて笑っている。

この国は、
剣だけで守られる国ではない。
人の想いと、赤く実るトマトが紡ぐ王国

そしてこの物語は、
とまと王国の未来へと、静かに、確かに続いていく。